nikukyuu_mako’s diary

人なのに手に肉球があります。コロナウィルス騒ぎで生物分野の再勉強中です。生物の大筋を見つけましょう。

低温殺菌(パスツール・美味しいワインのための殺菌)

パスツールは色んなことをした。そのうちの一つ。ワインの殺菌方法・低温殺菌法の確立です。

1857年頃にフランスのルイ・パスツールはアルコール製造業者からワインの腐敗の原因を調べる依頼を受けました。(ワインの底に沈んだ沈殿物から酒石酸を見つけた人だから、その縁でだろう。)

腐敗の原因を探す?不思議な考えだわ。でも腐ったワインは売れないしせっかく作って腐らせるのは嫌だわ。それはさておき。。。腐敗するのは何かしら腐らせる目に見えない、顕微鏡で確認できる生物(微生物)のしわざと考えた。腐ったワインと腐っていないワインを比べたい。だからそれぞれを綺麗な状態の栄養スープ(培地)に入れて育てる。たくさん育てたら微生物が見つかりやすくなる。

「腐ったワインの微生物」−「腐っていないワインの微生物」=「腐敗させる微生物」

腐敗させる微生物をみつけて、そこから腐敗させる微生物を殺す条件を探す。さらに上の式の考えは腐っていないワインに含まれる微生物は腐らせる原因にはならない仮定があっての話だね。

たった4年で、実験をするための基礎を作った。綺麗な栄養スープを作るところまでです。それが1861年の『自然発生説の検討』です。微生物の生育可能条件で微生物が入らない仕掛けで実験を行い、微生物のない綺麗な状態の培地を作った。

その上で1862年に低温殺菌法の最初の実験を行った。つまり、ワインを腐敗させる微生物を育てたってことです。

1866年にワインの殺菌法・低温殺菌法を確立する。(低温殺菌法は微生物を完全に死滅させない。害のない程度までの殺菌にとどめる。)ワインの殺菌方法っていうのが結構大事です。元々、ワインの風味を損なわないように腐敗させないで出荷させるための依頼だからである。100度以上で滅菌(高温殺菌)したらアルコールは蒸発してお酒ではなくなる。すなわち 美味しくない。ワインではないのだ。ええあんばいのところを探ったんだわ。

 

ここでもう一つ知恵を。。アルコールの成分のエタノールは78〜79度の間で液体から気体になります。ワインをこの温度で保ち、違う場所で気体を冷やすとエタノールができます。ワインからアルコールを取り出してしまった状態です。おいしくありません。現在のワイン製造業者は経験則で50〜65度で数分間、70〜80度で約1分間、90〜100度で数秒加熱するか 45〜48度で加熱後ボトル内で自然冷却しています。

 それぞれのええあんばい、企業秘密ともいうのかしら。